せんち。

時間が忘れさせてくれることがあるって知ってた。

でも、
忘れたのではなくて、ほんとは
こころの大広間に敷居が入ってお部屋が増えちゃっただけだと思うんだ。

外はすっかり染まって　季節はやっぱり移りかわっていて
一年過ごした　笑って歩いた　
何もかもが真新しくて朝露に包まれてるみたいにキラキラしてた。

同じ所に立ってみたけど
やっぱりそうだね。

大事にここにしまってるだけだよ。
ほんとはずっと②私を守ってきたはずだったのに、気づけずにいた。

広い場所にいたくない。
景色に見えちゃうから。　おしゃべりしてる子も、男の子達も。

風に揺られる　大きなソテツ。
くるくる　くるくる　舞う木の葉たち。

みんな自分の世界で生きてる。
景色にみえても、みんな主人公なんだから。
自分が中心って思ってても、皆そうなんだから。

ホントの中心はどこなんだろう。メリーゴーラウンドの操縦者。
取りとめもない疑問　考えたってしょうがないや。

たくさんのソテツさんや、木の葉さんの物語に
私はきっと出てはこないんだろう。

村人Ａにもなれない。
景色にまぎれて消えてしまうような　うっすらとピンボケした存在がここにいて、でも秋の風景たちのその後の展開を探ってる。


心を一つのものでいっぱいにするのは、
とっても幸せだけど怖い。
“失い”を意識せずには要られないから。


どうして遠いの？
どうして淋しいの？

分からないから独りでいます。
分からないけど、求めてみたい。

自分が自分であることを
ここにいる意味を確かなものにするために。


そんなことを時間が教えてくれた。
知らないけど。





童謡詩人、金子みすゞさんの“心”が大好きで書いてみました。